エジンバラ訪問 '99.August(No.21 Spring 2000)

東京支部長 礒干 健

 1999年8月14日、AM9時、ロンドン・キングスクロス駅を列車が出る。“フライング・
スコッツマン”=「空飛ぶスコットランド人(?)」という名前の特急列車に乗って
エジンバラに向かう。

 2等指定席の喫煙車両、おばあさんたちのタバコの煙に巻かれながらの4時間の度。
ロンドン市街を抜けると、なだらかな丘で羊や馬が草を食むおだやかな田園風景が延
々と続く。出発して3時間半を越えた頃、突然右の車窓に海を望む。おだやかさに慣
れた目には風で波立つ海の荒々しさが新鮮であり、僕の目は海に釘づけになる。ほど
なく市街に入る。エジンバラに到着、風の音がまだ耳に残ってる。ステップを降りて
ホームに立つ。空気が肌に心地良い。陽射しの中を皆について改札を出る。城壁の横
を歩く。途中、左に細い階段があり上の方で人の声が聞こえる。上に何かある!ざわ
めきに期待がふくらむ。

 階段を駆け上がるとそこがエジンバラのメインストリートであり、パレードの真っ
最中。ストリートパフォーマーがビラを配っている。道化師の扮装をした女の子に待
ち合わせ場所までの道を聞く。どうも逆の方向に向かっていたらしい。反対方向を指
差される。振り向くと石畳の下り坂の向こうに海が広がっている。カモメが飛んでい
る。今まで見たことない風景が目に飛びこむ。エジンバラに来たんだ。来て良かった、
と思った。


[旅の目的]
 シェイクスピア・カンパニーかつての計画である2000年エジンバラフェスティバル
(フリンジ)参加の下準備=劇場探しが目的。ベニューと呼ばれる会場は200近くある。
カンパニーの芝居に合う会場は見つかるだろうか?下館主宰と横山ステージマネージ
ャーと私の三人で時間は今日を含め2日のみ。
 待ち合わせ場所はベニューの1つ"Pleasanse"。主宰の友人プロデューサーから情報
収集。人の集まりやすく、広告活動をしっかりやれるベニューがベスト。彼が推薦す
るいくつかに絞り込んで会場を見て回る。受付で責任者のアポを取り、カンパニーの
説明を主宰が行う。日本から来た、マクベスを上演、スタッフを合わせると30人近い
集団であること…。ステマネが賃貸条件と会場を確認。僕はビデオ撮影を担当。3会
場が候補に残る。C too,Komedia,Pleasance。責任者と互いの連絡先を取りかわす。
(先日、下館主宰から C too に会場決定の連絡をいただいた。僕たちの旅の目的は
ここに達成した。)

[出合い]
 宿泊したB&B近くのパブの常連さんたち。おいしいスコッチをごちそうになりま
した。そして、僕たちのマクベス上演最初の観客になると約束してくれた。
 Pleasanceの中庭でジュディ・デンチに遭遇、世界的女優と下館主宰との2ショッ
トをしっかりビデオにおさめました。
 白い衣装でパラソルを持ち、ゼンマイ仕掛けの人形のように踊っていた女の子、キ
レイでした。


 たった2日間のエジンバラ滞在でしたが、出合いがいくつもありました。今年、カ
ンパニーは一週間、腰をおちつけて「マクベス」に取り組みます。
 エジンバラの夏、今年はカンパニーの新しい芝居に出会えることを確信しています。