港祭り

更新日:2012.7.17

主宰 下館和巳

 

 私にとってお祭りとは、港祭りだ。以前は8月だったが、いつの頃からか7月の海の日になった。毎年見ているわけではないが、見れば空白が埋まってずっと続いて見ているような気持ちになる。実はずっと故郷塩竃にいるような気持ちになる。

 去年は、震災の影響で中止になったが、今年は復活。娘三人と港のすぐ近くにある兄の家の二階から花火を見る。きれいだ。でも、いつもなぜか、せつない。一緒に花火を見ていた、今はもういない大切な人たちの顔が夜空に咲く火の花の中に浮かぶ。妻、父、叔母祖母、祖父・・・。

 翌朝、塩竃神社の表参道に立つ。暑い。白装束に身を包んだ十六人の男衆が一トンの御輿を担ぎ粛々と降りてくる。神様を担いでいるのだ!それに畏敬の思いをもって全神経を注ぐ男達。固唾をのんでそれを見つめる人たち。二百二段の急な石畳の坂を無事降りると、拍手が沸き起こる。

 涙が滲む。なぜだろう。必死になってなにかをなしとげようとする時に人から立ちあがってくる神々しさ、そういう人たちを讃えようとする人の思い・・・。

 私は「新・ロミオとジュリエット」に向かう私達を思った。みんなで、一生懸命になることだ、無心になってつくることだ、そうすればきっとたくさんのたくさんのひとたちの心を動かすことができる!と。