London Diary
Vol. 9
23 April 2024
Umi Shimodate
『It is darkest under a candlestick』
「ロンドンのすきなところ」を聞かれ、瞬時に返答できない自分がいたりする。
多分それはロンドン生活が日常になってしまったからなのと、どんよりした天気とか、おいしくない食事とか、物価の高さとか、そう言うのに滅入ってしまう時も多くて一年半住むと夢の国だったイギリスも現実の国となるからかもしれない。
でも答えられなかった自分に反省して、じっくり考えてみる。
「すきなところ。」
ロンドンの人たちの気遣いが好きだ。
地下鉄では、妊婦さんや杖をついたお年寄りにだけ親切なわけではない。子供連れには、子供だけが座れるように席をゆずるのではなく親と子が並んで座れるようにしたり、年齢問わず二人組などがバラバラに離れて座ろうとするとその子たちがそのまま会話を楽しめるように、違う席に移動したり。他人同士が連携プレーをしてそのひとたちのために動ける。かなりスッと自然に。相手に気を遣わせないように笑顔もセットで。
道端に寝ているホームレスに食事を渡す人もよく見かける。または、彼らに渡すだけではなく「一緒に飲もうぜ」と声をかけてビールを一緒に飲んで話を聞いてあげている人もいたりする。困っている人がいたら、見て見ぬ振りをしない。言葉よりも先にすぐ手を差し伸べる。だから、そこら中に自分のサポーターがいる感じ。
褒める文化が好きだ。
ファッションを褒めたり、髪の毛を褒めたり、その人がもともと持っている容姿や才能よりも努力してるであろう部分を褒める。前に、飛行機で前方の座席の女の子が突然ぐっと上から顔を出して「そのセーター、すごくかわいい!どこの?」と聞かれたこともあった。靴屋さんに入った瞬間に店員さんが「その靴いいねぇ!」と声をかけてくれて新しい靴を買いに来たのに今履いてる自分の靴で満足してしまい、そのまま何も買わずに帰ったこともある。この「褒める」文化を私は日本に持ち帰ろうと思う。
寛大なところが好きだ。
列車の遅延、2時間。よくあること。しかし、誰も文句を言わず待ってる。前にも言ったように、恐らくこの国の人達はトラブルへの端正がすごい。2時間後にようやく列車が揺れ出すと、自然と拍手が起こった。その時、うわぁ、好きだなぁイギリスと思った。
あとは、なんだろう。すきなところというか、文化の違いとしておもしろいなと感じるのはレストランでのオーダーの仕方。日本の場合「すみませーーーん!!」と大きな声で店員さんを呼ぶ。おそらくイギリスだけでなく、海外でその行為は相当無礼に値するらしい。だからなのか「Excuse me!!!」と大きな声で叫ぶ人は一人も見たことがない。忙しいと10分以上待たされることもあるが、武士のようにみんな静かにしぶとく待ち続ける。
あとはね、
なんだ、たくさんあるじゃないか、すきなところ。