下館和巳のイギリス日記
Vol.5 2002.12.24
クリスマス・プレゼントの小話を二つ。
先日、ある芝居を見た後に、劇場のカフェで、主演女優と話す機会がありました。
彼女はケンブリッジ大学出身で、 将来を嘱目されているようでした。彼女と僕の会話です。
「どちらからいらっしゃったのですか」
和「今は、ケンブリッジに住んでいますが、日本からです」
「日本ですか・・・。私が見た最も感動的なマクベスは日本のものでした」
(僕は、蜷川だなと勝手に思う)
和「どちらでご覧になったのですか」
「エディンバラです」
和「いつの」
(僕は少しどきどきする)
「2000年だったかしら」
(宝くじにあたる直前のような気持ちになる)
和「ヴェニューは」
「C2」
和「それは、私たちの芝居ですよ」
(その場は、彼女も僕も興奮したために、しばし騒然となる)
その晩は、嬉しくて、よく眠りました。海外でやるというのはこういうことなんですね。
ケンブリッジ大学ウルフソン・コレッジ恒例の晩餐会で、十年ぶりにスージーと再会。彼女はとてもきさくで陽気な社会学者です。
「カズミ、今度はなにやるの」
和「ハムレット」
「ケンブリッジでやるの」
和「イギリスじゃなくて、デンマークでやるの」
「デンマーク!デンマークのどこで ? 」
和「ハムレットの舞台になったお城の中の庭か、その傍の空き地で」
「えーっ、じゃあ、私の実家のすぐそばじゃないの」
和「おーっ」
そういえば、スーザンはデンマーク人でお父さんは確か外交官だったことを思い出す。デンマーク公演は、これで決まりだ、と思い込む。