下館和巳のイギリス日記
Vol.23 2003.9.22
がんばらない、ことばの国
イギリスで暮らしてはいる。
しかし、働いているわけではない。
ここで、ここを日常として働き、生活していれば、もっと堪らないイギリスが見えてくるのかもしれないが、 イギリスに来て一年が過ぎた今感じられるのは、穏やかで、味わい深い国だ、ということである。
そして、家族というものがあって、子供達を通してイギリス人と付き合っていて思うのは彼らが、あまりがんばらない国民である、 ということである。
家に人を招く機会は、日本に比べればはるかに多い。がんばらないから、また気楽に招き招かれる。
友人をレストランに招いて食事をする、というのではなくて、まず家に招く。
そして必ずしもご馳走というのではなくて、サンドイッチとティ、あるいはワインだけだったりする。
夜であれば、キャンドルに火を灯し、音楽を流す、ワイングラスがステキ。
という風に雰囲気というものをとても大切にはするのだが、食事の中身は拍子抜けするほどあっけなかったりするのだ。
それでもいい気持ちになって帰るのはとりわけ、会話を、ことばを何よりのご馳走と彼らが考えているからだろう、と思う。
イギリスは確かにおいしい。
食べ物ではなく、人とのまじわりと語らいが、ことばがおいしいのだ。